紀三井寺から車で帰るときにいつも行列ができてる「井出商店」なるラーメン屋がある。和歌山駅から歩いても10分かからないくらいの場所だ。
和歌山への出張はいつも週末で、その夕方以降であればどんな時間帯に通っても井出商店さんには人が並んでいる。
こんな言い方は失礼かもしれないが、大阪市内だったら安定して行列を作るラーメン屋は数多くあるが、人口密度がそもそも違う。和歌山駅周辺の人通りは大阪に比較にならないほど少ない。
かといって駅の周りに飲食店が少ないかと言うとそんなことはなくて、出張ビジネスマンや観光客をターゲットにした店が多数点在している。さらに僕が知っているだけで徒歩数分圏内にラーメン屋は3件もあるのだ。なのにだ、なのにおおよそ週末になると行列ができている!これはすごい。
もちろん車内では、この異様な光景がすぐに話題になった。和歌山の人に聞いても誰もが知っているこのお店に、ラーメン好きとしては兎に角行かずにはいられない。というわけでホテル泊まりの日に車でわざわざ店の前で降ろしてもらい突撃してきました!
今回は井出商店さん初訪問レポをご紹介します!
和歌山ラーメンの元祖「井出商店」
訪問したのは金曜日の19時過ぎ。
驚いたことに見慣れた行列が全くない!一瞬休みかと思って調べたほど。店の前を車で通っていた頃はシーズンど真ん中だったので、もしかしたら観光客が多かったのかもしれない。いずれにせよ、訪問日に限って待ち時間ナシで入れるとはなんて日だ!!と心で叫びつつ、まずは記念に看板をパシャり。
看板は「中華そば」。以前にも書いたが、僕は無類の中華そば好きだと公言している。これはドキがムネムネする展開だ。
店内に入ると和歌山ラーメンを印象付けるかのような豚骨の匂いが充満している。中華そば屋では嗅ぎ慣れていない、どちらかというと「がっつり豚骨ラーメンやってます!」っていう店ほどの匂いといっても過言ではない。お客さんは2名。席数は20あるかないかといったところ。
メニューは中華そばと寿司とたまごという和歌山ラーメン屋の王道のスタイル。お腹はがっつり空いていたので特製中華そば(800円)と早寿司(150円)とたまご(50円)をフルオーダー!
早寿司とたまごは丸美商店さんで勉強した通り、テーブルの上に鎮座していて「ご自由にお取りください」スタイル。餃子のタレを入れるような小皿はたまごの殻入れ。これが初めて行くと使い方に迷ってしまう。
麺は細麺で、豚骨強めの醤油スープ。それとかわいいカマボコ。
スープからチラ見えする細麺とかがもう最高!
お味を正直にいうと、あそこまでの行列をなすほどかとも思うほどシンプルで濃厚な味。大阪のラーメンを食べ過ぎて何か過度な期待をしてしまった自分がいるのかもしれないが、このどストレートな潔さが気持ちいい。豚骨と醤油のマッチングが旨い!
ただ、店内を覆う豚骨の匂いと共に、完璧に好みが分かれる味だろうなと思う。くどくも臭みも全くないが、しっかり豚骨のパンチはあってスープは若干トロッとしているし、プラス化調で濃い味付け。麺は硬めだがスープが馴染みやすく、ちゃんとスープを口に運んでくれるから口の中はオールタイム和歌山ラーメンだ。
そして関西、というか全国でも稀な風習であろうラーメンと早寿司の食べ合わせ。
早寿司といってもその実は鯖寿司なので完全に好みが分かれるだろう。僕は青魚のお寿司も好きなので、くどくなった口の中をサッパリさせてくれてラーメンがガンガンすすむ!
たまごの写真は忘れてしまったが、黄身がちょっと柔らか目に茹でられた「普通のゆで卵」。けっして味玉とかではない。こいつもまた口の中をいい感じに和らげてくれる。
僕の周りでは和歌山ラーメンのことを「嫌いでもないが好きでもない」という人が結構多くて、その甲斐あって食べたい意欲がわいてきた経緯がある。
関西の中華そばはしっかり鶏ガラスープで甘めが基本なので、僕は和歌山ラーメンを中華そばとは呼べないが、なんだか懐かしさを感じてしまう。気になって調べたらルーツはやはり中華そばらしく納得がいった。
そして和歌山ラーメンには「豚骨醤油系」と「醤油豚骨系」があるようで、井出商店さんは「豚骨醤油系」の元祖とのこと。
「和歌山ラーメン」という名前だけが一人歩きしてる感があるが、この井出商店さんこそが豚骨醤油系和歌山ラーメンの基準となるわけだから、やはり「元祖」は外せない!最後まで美味しくいただきました!
和歌山ラーメンと鯖寿司の関係
さて、気になった方も多いかと思うであろうラーメンと鯖寿司の食べ合わせ。僕自身も今まで全く経験がなったので調べてみた。探したもののあまり情報がなかったのでWikipediaから引用。
店舗で出される中華そばの量は、ほとんどの店で大盛りの注文は可能であるものの、標準では少なめに設定されている。これは、客が中華そばと同時に「早寿司」を食べることを前提にしているからである。早寿司とは、紀州名物の腐り鮨「なれずし」を十分に発酵させていない状態の鯖寿司である「早なれ」のことである。寿司をアセの葉で巻いているのが本格的だが、近年はプラスチック製のものが主流である。早寿司は大抵、テーブルの上に置かれている。また、巻き寿司が置かれている店もあるが、ラーメンと一緒に寿司を食べる地域は全国的にも類を見ないものである。なお、このような習慣が生まれた理由は、元々関西では定着している、うどんと同時に寿司を食べる習慣が派生したものとみられる。
確かに仕事終わりのメンズががっつり食べるにはちょっと少なく感じて、大盛りにしとけば良かったと少し後悔はしていた。
「関西のうどんと寿司の組み合わせが、和歌山ラーメンと寿司との組み合わせに派生したであろう」という最後の一節は、一番知りたかった部分でもあるのでちょっと不完全燃焼ではあるものの、少なくとも和歌山ラーメンと寿司の組み合わせは、昔からここ和歌山では定着している独特の風習であることはわかった。
酢飯、しかも青魚の寿司とラーメンという異文化交流に最初は戸惑いはしだが、これが意外に合ってビックリ!食べ合わせ的に良いというか、外国に行って初めてその土地のご飯を食べるあの感覚に似ていて、とても不思議な感覚だ!
今回のマジで!取りあえずおさえとくべし。
和歌山には有名店が点在してるが、和歌山駅から徒歩で行ける上に、「豚骨醤油系和歌山ラーメンの元祖の味」を頂けるので、ラーメンが好きでも和歌山には来られた際は一度は訪問してみてもいいと思う!