DIYの醍醐味は「こだわって作り、愛しながら使える」こと。
最初は上手に作れなくて"いびつ"になったとしても良い。僕ら職人からしても、その"いびつさ"はカッコ良さとして映ります。
ただ、いくら気軽にできるとはいえDIYをやりたいけど、いざ始めようと思うと何から手をつけていいのかわからず、ハードルを高く感じてしまう人もいると思います。
今回はDIYを始める上で「確かめておくポイント」と「最低限必要なもの」をDIY初級編としてまとめてみました。
DIYをする上で確かめておくポイント
まず、だいたいでいいので作りたい物のイメージがある前提で、材料の選定をしていくところから始めます。
板材にはコンパネ、ベニヤ、集成材など種類が多くあります。
DIYでよく使うのは、針葉樹とパイン材などの集成材ですよね。ここで大事なのが「板材の厚み」です。スタンダードな厚みは以下。
- 針葉樹→9mm、12mm、18mm
- パイン材→12mm、15mm、18mm、24mm
ホームセンターで簡単に手に入るメジャーな板材たちなので、制作物をイメージする参考にしてください。
使用用途と仕上り寸法と必要な厚み
まず確認するべきポイントは
①何に使うかという使用用途」
②外寸、つまり「完成した時の全体の寸法」
③「板材の厚み」
です。
わかりやすく言うと「300mm角・奥行(D)400mmの正方形のボックス」を作るとします。
小物を置くなら「材料の厚みは12mm程度で十分」ですが、人が座るのであれば「最低でも18mm」必要です。
同じ寸法のボックスでも、使用用途が変われば、板材に必要な厚みは変わります。
幅によっても必要な厚みは変わる
小物を置く程度であれば幅(W)300mmで必要な厚みは12mm程度ですが、テレビラックなど、幅の長く広いものを作る場合は12mmだと頼りなく、最低18mmは必要になってきます。
これは僕が作った「テレビラック/寸法:幅(W)1450mm×高さ(H)450mm(キャスター込)×奥行(D)400mm」ですが、18mmのパイン材を使っています。(家用のため雑な制作かつ犬にかじられてます)
幅1Mを越える寸法で、テレビのような重みのある機材を乗せる場合は、本来18mmでも頼りないんですが、この赤枠のように間仕切りを左右に1枚ずつれることで強度を上げ、重いものを乗せても湾曲せずに軽く作ることができます。
しかし構造によって厚みは変わる部分もあって、でもそこまで言葉で書くと分かりにくくなるので、サクッと必要な寸法と板材の厚みの関係をまとめておきます。
最初はこれを基準にして材料を選べば十分。あとは回数をこなしていく中で厚みと幅と構造の関係を自分の中で決めていけば良いでしょう。
厚みによって変わるビスのチョイスと種類
材料の厚みに対するビスの選び方で強度に差が出ます。
DIYに初めて挑戦する人が、木材同士で組み立てる時に覚えておいて欲しいのが「厚み×3」の近似値のビスをチョイスするという計算です。
これが分かっていれば荷重によって簡単にビスが折れることなくDIYができます。
例えば、厚み18mmのパイン集成材を使うなら「18×3」で54mm。
コースレッドも長さの種類には決まりがあるので51mmのビスを使います。
ビスの大まかな種類
木工用ビスには大きくわけて2種類×2パターンあります。
- コースレッド=厚みがある(全ネジ・半ネジ)
- スリムビス=細い(全て半ネジ)
コースとスリムの使い分けの判断は経験もあるのですが、DIYで棚やボックスなどを制作する人はコースレッドでいいでしょう。角材を使って骨組みの下地を作る場合はスリムがベストです。
そして全ネジと半ネジですが、DIYをする人は半ネジを使ってください。
半ネジは木材を「引く力」が強く、木材同士の接点の隙間を無くすことができます。なので「コースレッドの半ネジ」がDIYではオススメです。
ポイントのおさらい
- 何を乗せたいか
- 板材の厚みと仕上がりの長さや幅の関係
- 板材の厚みはとりあえず18mmで失敗はしない
- 使用するビスの長さの計算式「厚み×3」
- コースレッドの半ネジを使う
最低限必要な工具
材料とビスの関係性が分かれば、次は必要なのは工具です。
安いもの多く出回ってますが、これからDIYを続けていくのなら、プロが使っているものを長く大切に使うのが結果的にDIYの精度が上がります。
なので僕が本職の仕事で使っている工具たちを紹介させてもらいます。
インパクトドライバー
DIYと言えばインパクトドライバーですよね。
インパクトが市民権を得る時代が来るとは本業もびっくりですが、職人じゃない人と会話が成立するほど認知度が上がりました。
おすすめはマキタのインパクト。
選び方は記事にしてますのでこちらを参考にしてみてください。
メジャー(スケール)
これもDIYには必要です。おすすめはTAJIMAのスケール。
精度はもちろん、長尺(長いもの)を測る時に折れにくく、使いやすいのが特徴。
ベルトホルダーがデフォルトでついてるので、腰袋を購入するタイミングがあれば簡単に取り付けることができます。
僕は仕事柄、尺メモリ付きを好んで買っていますが、DIYであればミリメモリを買ってください。
鋸(ノコギリ)
DIYでよく見るのは電動丸ノコですが、いくらYouTubeで勉強しても丸ノコだけはおすすめできません。
知り合いの大工さんは左手の指を小指以外3本飛ばし、小指が皮一枚で繋がったという事故を経験しています。
本職でも指を飛ばすことはもちろん、キックバックなどで場合によっては命を落とすこともあります。
近くで丸ノコの使い方をレクチャーしてくれる人がいるケースに限り、導入しても良いと思います。
とはいえ、鋸が必要なケースは出てくるので、手引きの鋸は用意しておいて損はありません。そこで僕も仕事で愛用している折りたたみ式のTAJIMAのジーソーという鋸がオススメです。
普通の鋸は「引切り」といって、押す時より引く時に力を入れて切りますが、この鋸は押しても引でも切れるので楽に切断可能。
プロも納得のいく使い心地で、替え刃も売っているので長く使い続けることができます。
長い板材をまっすぐ切るのは大変で難しいですが、僕も丸ノコを使えなかった時期は必死に引いていました。笑
あると便利な道具
最低限必要な工具は上記で紹介しましたが、サブであると便利な道具も紹介します。
カッター
これは必須と言うよりはあると便利な道具という立ち位置ですが、汎用性が高く、ふとした時に必要になってきます。
愛用しているのはOLFAのカッター。
僕はよく黒刃を使用しますが、恐ろしく切れ味があって危ないので、使い方が定まるまではスタンダードな刃を使用してください。
本職も何気にインパクトの次に一番使う道具であり、一番怪我をする道具でもあります。カッターで作業をする時は刃を出しすぎないで使うのが安全です。
ビット用マグネット
買いたてのインパクトドライバーのビットは磁石が反応してビスを打ちやすいですが、すぐに弱くなります。
ビット用マグネットを装着すれば、ビスを任意の位置に打ち込みやすいのでぜひ使ってください。もちろんプロもみんな使っているなくてはならない便利ツールです。
必要な道具
- インパクトドライバー
- スケール
- ノコギリ
- カッター
- ビット用マグネット
DIY初級編まとめ
今回はDIYを始める上で気をつけておくべきポイントと最低限必要な道具をまとめてみました。
こうしてみると、DIY系の記事はどうしても文字数が多くなるのでわかりにくいですね。
ただ便利な部分もあると思うので、引っかかるポイントがあればぜひ参考にしてみてください。
材料はホームセンターで寸法を言えば切り出ししてくれるので、まずは家で組み立てることから始めてみてはいかがでしょうか:)