ずっと気になっていたAC100Vのコンセントで吹き付け塗装ができる「ペンキ屋くんスプレーガン」を購入したので、プロ目線でレビューしてみました。
現場で使い終えた評価としては
プロ目線(商品として成り立つか) | |
DIY目線(安全かつ簡単に綺麗な仕上がりを目指せるか) | |
購入ページのレビュー読んで迷ってる人は買った方がいい目線 |
DIYをする方には十分すぎる使用感と仕上がり。はっきり言って買いです!
ペンキ屋くんスプレーガンをプロが使ってみた
弊社は内装業を経営しており、デザインから仕上げまでワンストップで元請けで施工する、いわゆる多能工職人というポジションに位置してます。
仕上げ工事(クロス、塗装など)とその道具の使い方やメンテナンスは一通り身体に叩き込まれている。その前提で実際の現場で使ったペンキ屋くんのレビューです。
今回はリノベーション案件の「タイルを水性群青/白塗装」で、ペンキ屋くんスプレーガンで仕上げてみました。早速before/afterからいきましょう。
そもそもタイルを塗装するというのは、商売としてはあまり好ましくありません。本来であれば解体して下地と壁を作るのがマスト。
しかしここ宮古島に移住してからは店舗といいリノベーションといい、タイルに出くわす機会しかありません。水回りといえば水色のタイル。今のところ100%。ガチのタイル攻めです。
予算がある工事ならフルで解体で問題解決ですが、宮古島の産廃の金額が本気でエグいので内地の感覚や経験でやってしまうと、双方で金額が合わなくなります。
かといって壁を起こすと面積が狭くなるなど制約が多くなるので、予算がかけられない工事ではバランス良く残す方法で施工するようにしています。
コンプレッサほどではないが仕上がりは◎
タイル塗装は下地をきっちりすればちゃんと色は乗るので問題はありませんが、ハケだとムラがひどく論外。ローラーが無難ですが、跡が若干残るので広い面積だと個人的には吹付一択です。
前回の現場でもタイル塗装があったのですが、コンプレッサーを使いたくなかったので、市販のスプレー缶を使いましたが、案の定市販の缶だと全然足りません。
3回は吹き付ける必要があるので、市販のスプレーは仕上がりは良くてもコスパが悪い。ペンキ屋くんはコスパが良いですが、粒子が粗いのでよく見ると凹凸があります。
とはいえタイル相手だとローラーよりはマシ。鏡面仕上げではないので気にならないレベルです。塗料を使うのでコスパも◎
こちらは木材に水性艶消し透明のウレタンの吹付です。
エボニーなどの色が入ってる場合はコテバケの方が綺麗に納まるりますが、透明ウレタンの吹付は品が出ます。細かく言えばこちらも多少凹凸はありますが、綺麗に仕上がりました。
Amazon低評価やいかに
AC機のスプレーガンのレビューは軒並み低かったんですが、コツがいるとはいえ自分は問題もなく使用できて、何より大変な吹付作業を気軽に行えて、仕上がりも悪くない。かなり好印象です。
レビューの中には塗料の希釈率やガンの手入れ、洗浄の仕方やタイミングを熟知してないケースが多いのかもしれませんね。
簡易スプレーガンは他にもバッテリー式のものもありますがAC100Vの安定供給でこのレベルなので、バッテリー式よりは安心して使えると感じます。
プロ目線でみてもペンキ屋くんは十分高評価です。
使い方とお手入れのポイント
ここからは綺麗な仕上がりを目指しながら、長くペンキ屋くんを使う方法を紹介します。
使用中は仕上がりを意識するだけではなく、機械のクセや状態にも気を配りながらコツを掴むことが大事です。そして無理をしないこと。少しでも塗料の出が悪くなってきたと思ったら一度洗うことをおすすめします。
使用前のスタンバイ
吹付塗装の基本の「き」なのが、ペイントストレーナーを使って塗料を「こす」こと。ガンの目詰まりを防ぐために重要です。
塗料は底からよく混ぜても薄い塊になってる部分は出てきます。(特にアクリル系)使用環境によっては知らないうちに塗料に異物が入ってることもあります。
これが吹き出し口の目詰まりの原因となるので、必ずペイントストレーナーを使ってください。
使用中のメンテナンス
圧縮した空気を放出するコンプレッサーと違い、ペンキ屋くんは本体にかなりの熱を持ちます。
そのため吹き出し口の塗料が熱で固まったり、アクリル系なら皮膜してしまい塗料の出が悪くなる。
水性でもアクリル系やウレタン系など塗料の性質によって固まり方や速度は違うため、塗装の途中でもおかしいと思ったらめんどくさくても手を止めて、吹き出し口を拭き取ることが仕上がりに差をつける第一歩です。
マニュアルでは連続噴射は3分となってますが、その前に塗料の出が悪くなるので、歯ブラシやスポンジで吹き出し口を軽くブラッシングして、皮膜している塗料を剥がすと元通り。
ちょっとめんどくさいですが、慣れてしまえばあまりストレスには感じません。
洗い方
先述したようにコンプレッサーと違ってAC100V電源は本体に熱を持ちいため、本体内部で塗料が固まりやすいのがネック。
また、違う色で塗装をするときに混ざってしまうので、塗料吹付口を指で押さえて逆噴射させて洗います。
逆噴射で洗浄する
僕の場合、洗浄用にペンキ屋くんの予備コンテナを1個買って水を入れて色が出なくなるまで吹き続けます。
塗料が入ってる方のコンテナは蓋をして2度塗りまで保管。(いちいち移し替えるのが面倒)
ウレタン系は目詰まりすると取るのが大変だし、アクリル系は吹いてる尻から熱で固まることもあるので、その都度洗わないと使用できなくなることもあります。
大切なのは「一回終わったらすぐに洗浄する」こと。同じ塗料で2回、3回と塗装するにしても、乾き待ちの間にガンの中でも塗料は固まります。この一連の流れをその都度行なってメンテナンスをするのが肝心。
職人さんは安かれ高かれ、とにかく道具を大事にします。愛着を持って道具と向き合います。
そうすることで道具の構造や理屈がわかり、コツを掴むと手に馴染み、頭の中のイメージを形にできるようになります。
ペンキ屋くんまとめ
コンプレッサー+コンプレッサー用のガンを10数万円出して買うよりはかなり安く済んだとしても、約8,000円のスプレーガンも決して安い買い物ではありません。
使い捨てで終わらすのではなく、メンテナンスをして長く使うことで、こういう商品の価値が出てくるのだと思います。
個人的にはマキタやハイコーキから高性能の充電式スプレーガンが出てくることを祈りたいところですが、実際の現場での使用感として、ペンキ屋くんスプレーガンで商品になる塗装は可能。DIYだと十分すぎる効果を発揮してくれるのは間違いありません。
ぜひメンテナンスをしっかりしてスプレーガンの良さを引き出し、使いこなしてみてください。
それと健康のために吹き付け塗装の時は防塵マスクが必須です。