▼The Ameya(1893)
これを見て何を感じただろう。少なくとも僕は頭の中の江戸時代とは一線を画すリアルな江戸がそこにあった!
日本を愛した米国人画家
これらの風景・人物画はロバート・フレデリック・ブラム(Robert Frederick Blum)というアメリカ人画家の作品だ。
▼A Lesson in Flower Arrangement
▼Homoko, Japan (1896)
▼Lotus Pond, Shiba, Tokyo (ca. 1886)
▼Flower Market, Tokyo (1892)
彼の作品は初めて見たが、アジア文化に心奪われたようで他にも数多くの人物画、風景画を残している。どれも見たものをそのまま切り取った様な、今にも動き出しそうな作品ばかりだ。
色濃く残る江戸時代の香り
江戸時代の日本を知る貴重な手がかりとして一般的なのは浮世絵や数少ない写真。
どれも平面的なものばかりなので、江戸時代を頭に思い浮かべようとすると、当時一大ブームを巻き起こした浮世絵独特の画法で描かれた作品を、立体的に頭の中で組み上げる以外に方法がなく、そこからイメージされるものは現実とはほど遠いものだった。
ところがこれらの作品は彼が見たまま、感じたままの、当時の江戸時代の風景が写真よりも立体的に描き起こされている。
足音、息づかい、習慣、気温、喧騒感までもがリアルに伝わってくるこれらロバート・フレデリック・ブラムの作品は現代の僕らにはあまりにも衝撃的すぎる!!
▼The No dance
▼Geisha at Her Toilet
▼Repose I
価値があるのはまさに今
当然のように繰り返される日々の中に価値を見出し、一つの作品として記録することの難しさは今も昔も変わらない。
しかし、アジア文化をほとんど知らない当時の外国人からすれば、それが全て価値的で、あまりにも衝撃的で、刺激的だったに違いない。
彼は3年間日本に滞在し江戸の日本を描き続けたそうだが、僕たち日本人の方が、まだまだ日本の歴史について知らないことが多いのかもしれない。
今、目の前にある風景も100年後には大きく変わっているのだろうか。